コーヒーカクテル(WCIGS)過去4年間の全データをAIで分析した結果|最適なアルコール度数とは?
少し前から進めていた趣味プロジェクトだけど、コーヒーカクテルの世界大会「World Coffee in Good Spirits Championship(WCIGS)」過去4年間のファイナリストのプレゼンテーションデータを、AIで翻訳・分析してみた。
これは、少し前にAIで作った原価計算アプリに続き、10年前の自分に届けたい資料。すごくマニアックで読む人を選ぶ記事だと思うが興味のある人は最後までご覧いただきたい。
とりあえずデータだけ見たい人は、「4年間の分析から見えてきたこと」へどうぞ。
この大会への個人的な感情
コンペ出場に明け暮れた20代のころ
まず個人的な話をさせてほしい。私は20代の頃、バリスタとバーテンダーの両方で合計30回以上の大会に出ている。1回だけバリスタチャンピオンシップも出場したし、NBA(日本バーテンダー協会)の白いジャケットを着て出場するような大会にも挑戦した。
ほとんどが予選落ちだったけど、アイリッシュウイスキー”JAMESON”のカクテルコンペで国内優勝し、世界大会で準優勝。同時期に”MONIN”のシロップを使った大会も日本大会で優勝し、グローバルでも優勝できたことが唯一の誇れる成績かなと思っている。
しかし、本記事で取り上げるコーヒーカクテルのコンペティション(国内大会のJCIGS)だけは本当に何が正解なのかわからなくて、準優勝はできたけど、最後の最後まで国内大会で優勝できなかった。
とにかく大変で難しい。持っていく荷物は膨大、お酒の瓶は重く、コーヒー豆も自前で用意し、お金もめちゃくちゃかかる。
今思えばバカだけど、お金がかかりすぎてクレジットカードの決済をリボ払いにしながら出ていた時期もあった。後日、一括返済したけど若手の人は絶対に真似しないでほしい。(笑)
自分が出場していたころ、同じような事をしていた人がもう一人くらいいた気がする。
最後に出場したのはおそらく2018年だ。仕事環境がバーの現場からオフィスワークへ移り、全く新しい専門分野にもゼロから足を踏み入れることになったため、競技への挑戦には区切りをつけた。
その後の変わっていくルールもほとんど追っていなかったし、出ないと決めたら追いかけたくもなかった。
今後また出場するか?と問われれば、
自分でお店をやる事になれば挑戦してみたいという思いが半分。
同時にもう二度と大会と関わりたくない、散々苦労させてくれた腐れ縁をさっさと断ち切りたいという思いが半分。
変な例えだが、メンヘラ彼女みたいな存在だ。もう関わりたくないのに見てしまう。関わってしまう。
でも、いざ深く関わって出場すると精神的にしんどくて、命を削られる。別れたいのに別れられない。そして気づくと、また見てる。
本当に中毒性のある大会。
AIで過去4年分を全て分析した

この大会は国内大会であるJCIGSのチャンピオンが世界大会であるWCIGSへ派遣されるわけだが、この世界大会において日本から世界チャンピオンは未だ生まれていない。
そんな世界大会の舞台でファイナリストたちが何を提供してきたのか。2022年から2025年までの4年間、合計48杯分のプレゼンテーションデータをAIで翻訳・分析し、視覚的にまとめてみた。
本当は、4年分のファイナリスト全員のプレゼンテーション全文をNotebookLMに格納し、ファイナリストたちと対話できる(みたいな)ツールも作っていた。
ルール&レギュレーションもインプットされているため、とても面白いツールとして完成した。
しかし、プレゼンテーションの全文を一般からアクセスできる場所に公開することは翻訳権や著作権の観点でNGとなる可能性があり、専門的なAIにチェックをさせた結果、公開できるラインとそうでないラインが見えてきたので、上記は公開せず公開OKな範囲で資料を構成している。
ただ、自分で作って楽しむのは問題ないので、試してみたい人は以下のURLからNotebookLMを使って自分で作ってみてほしい。
AIで外国語動画やプレゼンを翻訳・分析する方法について。8万円の請求が0円になった世界。(Notebook LMの使い方)
データ公開の理由と注意点
年度ごとのデータに加え、過去4年間の統計的な分析データも作ってみた
分析したデータはもちろん無料で公開する。
大会は、出場する人がいなければ成り立たない。ジャッジや運営してくれるボランティアの人たちがいて成り立つのももちろんだが、挑戦する選手がいなければ大会は消えていく。
自分も過去に優勝していた大会がコロナ禍でなくなった経験がある。大会が続かなくなるのが出場していた立場として一番悲しい。新しい人がどんどん挑戦して、新しいチャンピオンが生まれるという流れができれば大会は常に面白くなる。新たに挑戦する人にとって、これがその一助になればという思いだ。
ただし、いくつか注意点がある。
このデータが全てではないし、真似したから国内予選で勝てるわけでもない。記載されている数値は、ファイナリストがプレゼンテーションで口述したものであり、実際に何ml入れているか、口述通りに抽出しているかは正直わからない。
AIの翻訳精度も100%ではなく、全てのチェックは私もできていない。
なのでデータを鵜呑みにはしないでほしい。
また、無いと思うが二次配布や商用利用での転載はご遠慮いただきたい。引用する場合は**「AIを活用してまとめた資料である」旨を併記**してもらえると、この資料が正しく生きていけると思う。
4年間の分析から見えてきたこと
この大量のデータはAIの中でもGeminiだけでは処理できず、Claudeの最新モデルであるOpus4.6を使用した。当然ながら、「まとめて」とAIに伝えただけでは欲しい資料は出てこないので、かなり細かくプロンプトを入れて完成した。
noteでそのまま公開できないため以下の独自ドメインのワードプレスにて公開している。スマホからでもご覧いただけるが、PCからのほうが見やすいと思う。

<まとめ先リンク>
WCIGS 2022 分析 World of Coffee — Milan, Italy 🍸 2022 World Coffee in Good Sp
WCIGS 2023 分析 Taiwan International Coffee Show — Taipei 🍸 2023 World Coffee
WCIGS 2024 分析 World of Coffee Copenhagen 🍸 2024 World Coffee in Good Spirit
WCIGS 2025 分析 World of Coffee Geneva 🍸 2025 World Coffee in Good Spirits Ch
WCIGS 2022-2025 統計分析 WCIGS Finals Analysis Hub 🍸 2022–2025 World Coffee in Good Sp
※訂正:「フルーツ/ベリー」というカテゴリーがあるが、正しくは「フルーツ」のみのカテゴリ。ベリーという余計なワードが付け足されてしまっているが修正にも時間がかかるので一旦そのままにしている。
以下、2022年~2025年における統合分析のハイライトを簡単に紹介する。
コーヒー産地と品種:WCIGSでもコロンビアとパナマが圧倒的に多い。複数回登場する農園としてはNinety Plusのパナマ・ゲイシャやコロンビアのエルディビソなどが目立つ。品種のトレンドは4年間累計でゲイシャが圧倒的で、これは他の競技会と同様の傾向だ。
これは業界的にも納得の推移
フレーバー宣言の傾向:デザイナーズドリンクもアイリッシュコーヒーも、フルーツ系の宣言が圧倒的に多い。ここに出てくるワードは、ある意味で定番的でグローバルでも審査員がキャッチしやすい傾向があるとも考えられる。アイリッシュコーヒーではチョコレートやキャラメルも頻出する。
デザイナーズにおいては、ストーンフルーツ、シトラス、トロピカル、の宣言が多い傾向
マウスフィール・テクスチャー:シルキー、ジューシー、クリーミーといった表現が多い。アイリッシュコーヒーではクリーミー、滑らか、ラウンド(丸みのある)が頻出。ボディ/ウェイトはライトからミディアムの宣言が中心で、「リッチ」がたまに登場する。これは使用するコーヒーや酒類によっても、大きく左右されるポイントだと思う。
デザイナーズはシルキー、ジューシーが多く、アイリッシュはクリーミー・滑らかといった表現が多い傾向
スピリッツ・リキュール・シロップ:過去4年間24杯分の使用材料一覧を掲載している。アイリッシュコーヒーに使用されたウイスキーの銘柄も記載しており、カバランやタラモアデューがスポンサーだった年は全員がそれを使用。2025年はスポンサーなしだったため、各自が自由に選んでいる。
シナジーを生みやすいジンやラム酒が多用される傾向
コーヒーカクテルの「最適なアルコール度数」を考える
このデータをまとめる中で、個人的にずっと気になっていた問いに一つの答えが見えてきた。コーヒーカクテルを作るとき、最適なアルコール度数はどのくらいなのか。
4年間の傾向を見ると、おおよそこうなる。
これは4年間の平均でしかないので、実際は年度ごとデータを紐解くほうが役に立つかもしれない。
コーヒーの持つテロワール、フレーバーを活かそうとすると度数は弱くなりがちだ。逆にバー向けでカクテルとしてのお酒感を出そうとすると度数が上がり、コーヒーのフレーバーが消えがちだ。このバランスが本当に本当に難しく、苦しめられてきた。
ちなみに各年度ごとのデータで確認いただけるが、コールドとウォームでは平均となるアルコール度数が異なる。ウォーム(温かいカクテル)の場合は6%前後。2025年のチャンピオンもウォームカクテルで優勝しており、推定度数は5.9%だった。シェイクやステアで仕上げるコールド(冷たいカクテル)は9%前後。アイリッシュコーヒーは4〜5%が多い。
ちなみにバーテンダー視点で言うと、私がジェムソンの大会で優勝したときのコーヒーを使ったカクテルはアルコール度数が約20%あった。
ジェムソンで優勝した時のレシピで20%ほど
バーで一杯のカクテルとして構築するとそのくらいになる。しかしWCIGSなどの競技では、コーヒーのフレーバーを活かすにはコールドで9%前後、ウォームで6%前後が一つの目安になりそうだ。
試作した時に、アルコール度数をチェックできるツールで計算してみても良いかもしれない。
AIでアレンジドリンクの原価計算とアルコール度数計算アプリを作った話。
もちろんこれは机上の空論の域を出ない。度数が強くても得点を取れるかもしれないし、ここからまた新しいスタイルも生まれてくるかもしれない。データはあくまでデータでしかない。
おわりに
ちなみに、分析データを見ていて、これ間違ってるんじゃない?っていうお気づきの所があればぜひ教えてほしい。
WBC(World Barista Championship)やWBrC(World Brewers Cup)の分析記事もまた時間があるときに載せるかもしれないので、興味のある方はまた見に来ていただきたい。しばらく忙しくなりそうなので、次いつ更新できるか分からないけど、こちらも分析を見ているとかなり面白い。
WBCまとめ
WBrCまとめ
あと来年度も新たにまとめるかはわからない。AIの課金費用もそれなりにかかるし、AIを使っているとはいえ作業時間も相当なものだった。
なので、この記事の下にあるチップ機能で、来年時点で最新モデルのAIを動かせる程度の応援が集まっていたら、再び2026年版でまとめようかなと思います。😇(笑)